お酒を飲んで何か読み物を探す
やけに、ページが塵になりそうな本二冊
長い間、会いたかった人がいた
泣いた
二冊とも詩集であった
作家より、作品であり。
作品より、目を留めた、あなたである。
萩原 朔太郎の詩集に、おじいちゃんの名前。
ながいあいだ、みんな探していて。行方不明から行方明へ。
その詩集に残されたコノ文字。これ、どこか違和感を覚える。
もしかすると、おじいちゃんが晩年に書き足したのではないかと思う。
インクのにじみ方、染み込み方が、違うので。でも、同じ人が書いた様にみえるような、気のせいのような。
所有物のサインは墨で筆。
インクで、ペンだよな、これ。
どーでもいいけど、どーでも良くないよ!って、私も吠えよう。
おじいちゃんが子供のいない時期に特攻隊へ入隊することになり。
入隊直前に読んでいた本が、詩集だった仮説が証明された。
詩集を持ってゆき、暴行を受けたという戦時中の話は案外たくさん残っているのだ。詩集はもちろん燃やされた。
おじいちゃんは持ってゆかなかった人だ。ドライというか、なんというんだろう。でも、ちょっと分かる。